ウィッグ(かつら)には「医療用ウィッグ」と「ファッションウィッグ」の2種類があります。化学療法や病気による脱毛の人が使うウィッグが「医療用ウィッグ」、おしゃれ目的で使用するウィッグが「ファッションウィッグ(おしゃれウィッグ)」です。医療用ウィッグは長時間つけても負担が少ないように、着け心地や頭皮への安全性などに配慮して作られています。
実際に私が持っている『医療用ウィッグ』と『おしゃれウィッグ』についても紹介しながら、両者の違いを説明したいと思います。
医療用ウィッグのJIS規格
以前は医療用ウィッグに厳密な決まりはありませんでしたが、2015年、経済産業省より医療用ウイッグのJIS規格が制定されました。この規格では、直接頭皮に接触するネット部、スキンベース部、インナーキャップ部等のパッチテストによる皮膚刺激数・ホルムアルデヒドや、洗濯による堅ろう度と汗による堅ろう度の性能や試験方法などを細かく定めています。
JIS規格に適合した医療用ウィッグは、頭皮への安全性や着け心地などに配慮されているので、病気治療中でも安心して使うことができます。
詳細は「日本毛髪工業組合」のウェブサイトに記載されています。認証を受けた事業所名の一覧もあります。
>> 医療用ウィッグ「安心・安全」マーク(日本毛髪工業組合)
用途が違う
ファッションを楽しむためにつけるファッションウィッグは、脱毛で悩んでいる人がつけるのではなく、髪の毛がある人がおしゃれ目的でつけることがほとんどで、見た目のかわいさやかっこよさが重視されます。そのため、つむじなどの分け目が自然であることはあまり気にせず、低価格の人工毛が使われます。
一方の医療用ウィッグはガンの治療や円形脱毛症などの病気の影響で髪の毛が薄かったり、全く髪の毛がない人が使います。私も脱毛症なので日常的に医療用ウィッグを使っています。医療用としてウィッグを使う人のほとんどが、ウィッグをつけていることを他人に気づかれたくないという思いなので、髪質や分け目などが自然になるように作られたウィッグが多いです。
そのため、医療用ウィッグにはより自然に見えるように人毛や人工スキンなどが使われているものも多く、ファッションウィッグよりも高価です。私は日常的に医療用ウィッグをつけて仕事や外出をしていますが、ウィッグと気づかれることはまずありません。近年の医療用ウィッグは本当に進化してよくできているので、ウィッグ生活でもかなり快適な人生を送ることができます。ひと昔前の「かつら」のイメージとは全然ちがいます。
着け心地が違う
おしゃれ目的のファッションウィッグは機能性よりも見た目重視のため、着け心地のことはあまり考えられていません。医療用ウィッグは、長時間つけることを前提に、内側についているネットの通気性や肌触り、暑さ・蒸れ対策など機能性も考えられて作られています。そのため、長時間つけていても、刺激が少なく頭皮に優しいです。
長時間ウィッグをつけて生活する場合は、ウィッグ内側の素材や伸縮性などのよいものを選んだほうが着け心地がよくて楽です。
私はこれまでにたくさんのウィッグを試したり、実際に購入したりしてきましたが、ウィッグによって頭への負担が全然違います。1日つけていると頭が痛くなるウィッグもあれば、1日つけていても全然気にならないウィッグもあります。長時間つけるウィッグの場合は、安すぎるウィッグは避けたほうがよいでしょう。
値段が違う
ファッションウィッグの値段
ファッションウィッグは安いものなら2,000円程度で購入することができます。高いものでも1~3万円程度です。実際に私自身、1万円程度のファッションウィッグを通販で買ったことがありますが、そこそこ満足のウィッグでした。おしゃれを楽しむためにつけるなら安いものでも十分ではないかと思います。
しかし、医療用のよいものに比べると、着け心地が悪いので長時間つけるのには向いていません。また、生え際やつむじが不自然だったり、髪の毛がテカテカと人形のように光ったりして、近くでみるとウィッグであることがバレてしまいます。ウィッグであると他人に知られたくない場合は、ある程度グレードの高いウィッグを買うのがよいでしょう。
医療用ウィッグの値段
医療用ウィッグの値段は本当にピンキリです。安いものだと2万円以下、高いものだと数十万円します。「人工毛なのか人毛なのか」や「人工スキンがついているかどうか」などウィッグの品質で値段が変わってくるのはもちろんですが、購入場所によっても値段は異なります。
今でこそインターネットが発達して、ウィッグの情報をネットで調べることができますが、ひと昔前は調べようにもその手段がありませんでした。もちろんアマゾンや楽天でもウィッグの販売はしておらず、通販で気軽にウィッグが購入できる時代ではありませんでした。そのため、私が最初にウィッグを購入したのは(2005年頃)、大手かつらメーカーのサロンでした。
そのときにはオーダーメイドウィッグをすすめられましたが、値段が80万円と言われて驚きました。ウィッグの販売は、ある種、人の弱みにつけこむ商売なので、悩みが深ければ深いほど、販売員に言われるがままの高いものを買ってしまいがちです。そのときは80万円ものお金がなかったので既製品の安いウィッグ(それでも当時は40万円しました)を購入しましたが、もし80万円を支払う能力があれば買っていたと思います。
今は10年前に比べるとウィッグの相場はかなり下がっており(大手サロン以外のメーカーも進出してきたため)、自然で高品質のウィッグがお手軽な価格で買える時代になりました。10年前に40万円で買ったウィッグより品質のよいウィッグが現在は20万程度で買えます(購入するお店によって異なりますが)。
医療用ウィッグとファッションウィッグどっちを選ぶ?
私は医療用ウイッグとファッションウイッグを使い分けています。私は脱毛症で髪の毛がないため、ウィッグなしでは他人に会うことができません。そのため、家にいるとき以外はずっとウィッグをつける生活です。
仕事など日常的につけているのは高品質の医療用ウィッグですが、無駄につけて傷めたくありません(ウィッグは消耗品なので経年劣化します)。そのため、近所に買い物に行ったり、ゴミをすてに行ったりするときは低価格の医療用ウィッグをつけています。安いウィッグは生え際や毛質が不自然なので、上から帽子をかぶってごまかしています。
医療用ウィッグを買うかファッションウィッグを買うかで迷っている場合、以下を基準して選ぶとよいかと思います。
・とりあえずウィッグを試してみたい⇒低価格のウィッグ(2万円以下)
・低価格でなるべくウィッグがばれたくない⇒低価格の医療用ウィッグ(3~8万円)
・絶対にウィッグを他人にばれたくない⇒高価格の医療用ウィッグ(8万円~)
私の経験では、10万円以上のウィッグはかなり自然で着け心地も快適です(高ければ高いほどよいというわけでもありません)。10万円以上の高額ウィッグを購入する場合は、失敗がないように購入前に試着をすることをおすすめします。
通販でウィッグを買うなら「リネアストリア」がおすすめです。種類も多くて、価格帯も幅広いので自分の好みや予算にあったウィッグが見つかる可能性が高いです。
通販ウィッグはコストパフォーマンスが高い一方で注意点もあります。通販ウィッグは返却できないことが多く、気に入らなかったら無駄になってしまうリスクもあります。実際、私も通販ウィッグで失敗した経験が何度かあります。
ウィッグで失敗したくないという場合には、サロンで試着するのが確実です。医療用ウィッグのサロンとしては「スヴェンソン」がおすすめです。全国に店舗があり、無料試着してから購入できるので、失敗のリスクがありません。私が現在メインで使用しているウィッグもスヴェンソンのものですが、軽くて着け心地抜群です(このページの一番上にある写真は実際につけている後ろ姿です)。
コメント